口元が、ほんの少しゆるめば、大きな笑顔!
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.たのまれた留守番・熱をだしてる男の子
3.その瞬間が、がんばらせる
4.ちょっとしたできることで
5.やさしさにつつまれて
6.みんなが努力
7.むけられる笑顔
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
大人になると、たいへんなのかもしれない。
ちょっとしたできることを、するの。
時間のある子どものほうが、できるのかも?
たのまれて、がんばった。
うれしかったんだってばぁ。
2.たのまれた留守番・熱をだしてる男の子
道が集落を海がわとヤシ林がわに、二分するようにとおっています。
ヤシ林を背にする敷地のおくに、高床の家がたっていました。
ヤシの葉の芯をしきつめた床は、4人ていどがねむれる広さをして、大人が腰かけやすい高さです。
そのなかほどに、葉をあんだ寝具をしいて、発熱した5才のトイピが、あおむけにねむっています。
どふぁらが脇にあぐらをかき、両手でトイピの片手を、そっとつつんでいました。
「薬をとりにいった、トイピのお父さんとお母さん、まだかな? はやく帰ってくるといいのに」
どふぁらのいっぽうの肩に手をかけ、膝立ちしているタウパが、ヤシ林のほうへ目をむけます。
「あっ! なんだ、ちがうや。漁から帰ってきた男の人ふたりだ」
3.その瞬間が、がんばらせる
漁からもどったふたりは、腰にくたびれた茶色の布を、膝丈にまいた姿です。
ひとりは漁獲のはいった厚い布のふくろを、もうひとりは白い網をいっぽうの肩にかついでいました。
ヤシ林をでたところから、人があるいてできた道がふた手にわかれ、いっぽうは敷地の脇をとおっています。
「ようやく、集落にはいったか。たくさん獲れるのはいいが、重くてかなわん」
「まぁ、そういうな。家族が感謝してくれるだろう」
「おまえ、礼をいってもらえるのか――」
「バカいうな、獲ってきた魚介をみて、うれしそうな顔をするじゃないか」
「おお、つかれがふっ飛ぶ思いだぜ」
「そうよ、その瞬間のために、がんばるようなものだ。女房たちだってそうだ。下ごしらえをして、汗をダラダラながしながら、魚介に火をとおして。がんばるのはおれたち家族が、うまい! って笑顔になる、その瞬間のためだろう」
話しながらあるく、ふたりの声が聞こえていました。
4.ちょっとしたできることで
ヤシ林のほうへむいていたタウパの目が、パッと大きくなります。
「きた! こんどはトイピの、お父さんとお母さんだ。やっと帰ってきた」
ふた手にわかれた道を敷地のほうへはいってきます。
ふたりとも30代半ばでした。
お父さんは茶色い布を腰にまき、お母さんは茶色いワンピースをダボッと着ています。
「タウパ、トイピの具合はどうだ?」
そういったお父さんは、トイピの薬にする木の枝を手にしています。
「少し楽になったみたい」
高床のはしに腰かけたお母さんが、体をトイピのほうへたおしました。
「ほんとだわ。眉毛のあいだから、力がぬけてるわ」
お母さんが、うれしそうにほほえみました。
その顔を、どふぁらへむけます。
「わるいわねぇ、留守をおねがいしちゃって」
「できないことだったり、いやなことだったら、ことわってるってばぁ」
しゃべれないどふぁらが、ニコッとしました。
5.やさしさにつつまれて
お母さんが、トイピに顔をむけます。
「よかったわねぇ、楽になって」
「最初はぼくがやってたんだけど、交代したらどふぁらにいちゃん、ずっとうごかないで、トイピの手をつつんでた。そうしたらトイピの眉のあいだから、力がぬけたんだよ。どふぁら兄ちゃんの手って、すごい」
「トイピは今、わたしのおなかのなかで、ねむってるのね」
やさしさがこぼれるような瞳をむけています。
「今、お父さんが薬をつくってくれるからね、そうしたらもっと楽になるわ」
💦お母さんのおなかのなかでねむるページは、こっち >
6.みんなが努力
お父さんがヤシの実の殻のうつわを持って、どふぁらのむかいにあぐらをかきました。
「どふぁらの手が、効いたっていうじゃないか。だったらトイピは、もうだいじょうぶだ」
どふぁらがトイピの手から、両手をはなしました。
「トイピが、これを飲めればいいんだが、こうしても熱はさがる」
うつわから液をすくったお父さんが、その手でトイピの体を、そっとたたくようにします。
薬でトイピの体が、ぬれていきました。
ていねいに頭や首、腕や足のつけ根に薬をひたします。
7.むけられる笑顔
トイピが頭をうごかしました。
「う~ん」
小さな声をあげます。
お母さんが表情を、パッと明るくしました。
「お父さん、トイピが目を覚ましたわ」
「よし、それじゃあ、薬を飲ませるか」
どふぁらとタウパが、高床からおります。
どふぁらが軒に頭をぶつけないように、首を前にたおし屋根の外へでました。
軒先に立ったふたりが、陽光をうけます。
お父さんとお母さんが、とってもうれしそうな顔を、ふたりにむけました。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
できることで、笑顔になる。
うれしいずら。
おいらたちの生きる意味ずら。
おっと!
ここからもいけるずら。
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