もうみんな、価値観をもってるんだよ。
本文は:物語風に6分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <このみ・すききらい、でいい>
2.ちがうかがやき・ぼくのすきな太陽、わたしのすきな太陽
3.それぞれの価値観
4.たったひとりだけだとしても
5.自分の価値観にむねをはる
6.価値観は、人とちがっていい
7.価値観がおなじだと・気持ちがわかりあえる
8.まとめ
1.タウパの前書き <このみ・すききらい、でいい>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
価値観て、むずかしい言葉だってばぁ。
もっとかんたんに、
このみ、や、すききらい、
で、いいでしょう。
島のぼくらは、そんなだから。
2.ちがうかがやき・ぼくのすきな太陽、わたしのすきな太陽
そこは、海へつきだした、すなはまの先たんです。
はまにすわるふたりのはだを、太陽がやくようです。
「ぼくは、こっちからのぼってきた、太陽がすき」
そう言ってルイトが、キリに顔をむけました。
「わたしは、こっちにしずんでいく、太陽のほうがすき」
ふたりは、タウパのクラスメートでした。
「だって、のぼってきた太陽のほうが、明るいもん。かがやいてる感じが、カッコいい」
「だから、しずんでいく太陽のほうが、ステキなのよ。だって、オレンジより赤にちかい色を、してるもん」
ふたりが、朝日ののぼるほうへ、顔をむけました。
ヤシのしげる島が、ゆるやかなカーブを、えがいてつづきます。
とおくのほうは海の上に、ヤシ林がのっているようです。
「あのヤシ林のうしろから、太陽がのぼってくるんだ」
「そして真上をとおって、反対がわに見える海のむこうへ、しずんでいくのよ」
3.それぞれの価値観
キリの顔が、太陽のしずむ海へ、むいています。
「夕日の、あったかい感じの、色がいいの。だって、もしもその日に、いいことがあったら、それをもっと、よくしてくれるし。もしも、いやなことがあったら、それをやわらげてくれる。どっちにも、やさしいから」
ルイトが朝日ののぼる、とおくの島へ目をむけました。
「朝の太陽は、オレンジ色をして、明るい。あたらしい1日が、はじまる感じが、すごくする。光をあびてると、体がつよくなる気がするんだ」
ルイトが顔を、キリへむけました。
「だから、のぼってきた太陽のほうが、明るくてカッコいい」
「しずんでいく太陽のほうが、あったかくていいわよ」
「ぜったいに明るい太陽だ」
「あったかい太陽のほうよ」
ふたりは、ムキになっています。
ルイトは明るい光に、価値を感じています。
キリはあたたかい光に、価値を感じています。
4.たったひとりだけだとしても
ルイトとキリが、はまをならんで歩きます。
はまがゆるやかなカーブをえがき、集落の前まできました。
タウパがおしりを海に入れ、あぐらをかいています。
タウパをあいだにして子供たちが、ふたつにわかれて立っていました。
そのいっぽうのひとりが、タウパをゆびさします。
「タウパ、おまえ頭が、おかしいんじゃねぇの」
もういっぽうからは、女の子でした。
「そうよ、へんだわ。まるでへんたいよ」
タウパがかたうでを、まっすぐ上へむけて、のばします。
「うるさい、うるさい、うるさい。ぼくは、高い太陽が、すきなんだ」
タウパの価値観です。
5.自分の価値観にむねをはる
「タウパは、アホだな。高い太陽なんて、あついだけじゃねぇか」
「そうよ、こっちの子は、みんな夕日が、すきなのよ」
「こっちに、集まったのはみんな、朝日がすきだぜ」
ルイトとキリが、それぞれにまざりました。
「ねぇ、ルイト、朝日のほうが。カッコいいわよね」
「おれは、キリとおなじ、夕日がすきだぜ。タウパだけだぞ、あつい太陽が、いいなんていう、へんたいは」
「そうよ、あせがいいなんて、きもっ! 高い太陽なんて、みんなきらいよ」
タウパが顔を、空へむけました。
「うるさい、うるさい、うるさい。みんながきらいだって、いい。高い太陽は、ぼくらがあそんでいる時、いつもいっしょじゃないか。ぼくはつよくかがやく、太陽みたいに、なりたいんだ。だれがなんていおうと、いちばんすきだから」
タウパが立ちあがって、うでを組みました。
海をむいて、むねをはります。
価値観がみんなとちがっても、自信をもって。
6.価値観は、人とちがっていい
海にむいて立つ、タウパのせなかでした。
つきとばしたのは、体の大きな男の子の、ガギです。
タウパが、海へたおれました。
そのせなかに、ガギがかた足をのせます。
「ムカつくんだよ。どっちかのみんなに、まざればいいじゃねぇか」
「ガギ、そんなことしたら、ひどいわ」
「そうだよ。タウパのすきやきらいと、ガギのすきやきらいは、ちがうんだ」
ガギが、タウパのせなかから、足をどけました。
「うるせぇ、おまえらだってタウパに、へんたいだって、いったじゃねぇか」
みんな下をむいて、はんせいします。
≪タウパ、ごめん……≫
価値観は人それぞれ、ちがっていいんです。
7.価値観がおなじだと・気持ちがわかりあえる
太陽が水平線へ、ちかづきました。
キリがはまにでると、女の子が立っています。
「ナケラも、いやなことが、あったの?」
ナケラが、横に立ったキリに、顔をむけました。
「わたしは、いいことがあった。音楽のじゅ業で、みんなみたいに、大きな声で歌えたの。それがうれしくて」
キリが、かすかにほほえみました。
「キリは、なにがあったの?」
キリの顔から、えみがきえました。
その顔が、まっすぐ太陽へむきます。
「わたしは、へいきだから」
「じゃあ、きかないね」
ナケラの顔が、夕日へむきました。
「しずんでいく太陽ってやさしいよね」
「うん、ほんとうにやさしい」
価値観がおなじだと、わかりあえます。
8.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
価値観は、人それぞれずら。
タウパみたいに、自分だけだとしても!
自分の価値観に自信をもって、むねをはるずら。
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