たった、一度だけなんて、思えない。
また、おなじ時がくるように、思うよね。
本文は:物語風に3分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <いやな時といい時>
2.悲しくって、悲しくって
3.虹なんて、助けてくれない
4.虹が小さくなった
5.虹に、つつまれて
6.もう一度会いたい・二度と虹に会えない
7.まとめ <楽しいのは、おぼえておけるけど>
1.タウパの前書き <いやな時といい時>
いやな時は、一回だけでいい。
だけど、
いい時は、一回だけなんて、いやだってばぁ。
なんどもあって、ほしいってばぁ。
2.悲しくって、悲しくって
家のたつ集落のはずれにあります。
海につきだす半島の先でした。
すなはまにタウパが、すわっています。
なかよしだった犬が、死にました。
≪ロロ―、どうして……、どうして……≫
ひざをかかえ、ひざにおでこをつけています。
≪きのうは元気だったのに。元気は、ぼくのためだったって。ほんとうは死にそうだけど、がんばったって……≫
タウパの目から、なみだが落ちました。
≪がんばらないで、がんばらないで、しずかにしてれば、死ななかったかも、しれないじゃないか――≫
タウパが顔をあげます。
「ロロ―」
大きな声でよびました。
3.虹なんて、助けてくれない
海の水が、ずっと遠くへ引いています。
海ていの白いすなが、ひろがっていました。
「あっ、虹がでてる」
タウパが、つぶやきました。
「ロロ―に会いたい。おねがい、ロロ―を、生きかえらせて……」
ほっぺをなみだが、ながれました。
「ちきしょー、虹になんて、なんにもできない。助けてなんてくれない」
虹がうごきます。
かたほうの虹のはじまりが、タウパの目の前にきました。
4.虹が小さくなった
すぐ前から、虹が立ちあがっています。
「ぼくに、のぼってこいっていうのか!」
タウパが、立ちあがりました。
「よし、てっぺんまで、いってやる」
タウパが、走りだしました。
虹がサッ、と遠ざかります。
「にげるな、ひきょうだぞ」
タウパが、白いすなの海ていを、けって走りました。
「あっ、虹が小さくなった!」
5.虹に、つつまれて
虹が、タウパの身長より、少し高いぐらいです。
タウパが、走ってくぐります。
「えっ、どこまでつづいてるの?」
虹が、トンネルになっています。
「少しずつ、虹が小さくなってくる」
タウパが、走りつづけます。
「うわ~、虹につつまれてるってばぁ。くすぐったい、くすぐったいよぉ」
タウパが、わらい声をひびかせました。
6.もう一度会いたい・二度と虹に会えない
空には星が、たくさん光っています。
ゆかが、大人のこしぐらいの高さの、家でした。
どふぁらとタウパが、ゆかのはしから足をおろして、すわっています。
「あの虹に、もう一度、会いたくて、会いたくて、会いたいのに、ぜんぜん会えない」
ふたりは、海のほうをむいていました。
「半島の先にいって、すなはまにずっと立って、待ってたことだってあるのに。虹に、ありがとうだって、いってない」
「うううっ」
しゃべれないどふぁらが、うなりました。
タウパには、なんていったのか、わかります。
「そうなんだ。一度だけなんだ。二度とないから、その時を大切にするんだって、も~、もっとはやくいってよ。その時は、楽しくって、おわっちゃったもん」
「うううっ」
「そっか、その楽しさをずっと、おぼえておけばいいんだ」
7.まとめ <楽しいのは、おぼえておけるけど>
楽しさは、おぼえておける。
んだが、
悲しいのを、わすれさせてくれた、虹。
虹には、二度と会えない。
んだから、
一度だけの今を、大切にするずら。
おっと!
今を大切にして、後悔しないようにするずら。
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