魚屋さんがないし、家には壁がない。
つらい――。
< 本文は:物語風に2分 >
目次
1.タウパの前書き
2.風がふいて寒い
3.ぬれて冷たい・はだかのほうがまし
4.押しあってあたたかく・毎日の雨で肌の色が
5.カラカラじゃなくてしめっぽい
6.生活が苦しい
7.まとめ <魚も壁も、売ってない>
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
雨と風のつよい日が、つづくときがある。
そうすると寒いし、食べる物がかわる。
大人も子どもも、
みんな魚が、食べたいんだってばぁ。
2.風がふいて寒い
葉のかさなりを流れおちる雨が、軒先から幾本もの透明なすじをつくります。
軒からてっぺんへかけあがる屋根のしたでした。
ヤシの葉をあんだマットが床一面にしかれ、タウパがひざをかかえて横になっています。
「お母さん、風がふいてくるほうの軒したには、葉をあんだスダレがおりてるのに、どうしてこんなに寒いの――」
タウパにむいてお母さんが、あぐらをかきました。
「お父さんの茶色い腰布よ、からだにかけなさい。体格のいいお父さんが巻いて、脛がかくれる幅があるから、ほら」
タウパのからだが、布につつまれるようです。
3.ぬれて冷たい・はだかのほうがまし
すっぱだかのタウパが、あぐらをかいたお母さんの前にたっています。
「お母さん、もう今日は制服の茶色い短パン、はいていかない。冷たいから教室にはいったら、ぬいじゃうし――」
お母さんが心配そうに眉をよせました。
「そうね。だけど先生に、おこられないの?」
「だいじょうぶだよ。先生なんて、茶色いふくろみたいな服が、びしゃびしゃで、ふるえながら授業してるから。はだかになれるみんなが、うらやましいって」
タウパが、走りだしました。
頭を軒にぶつけないように、からだを少し前にたおし、幾本もの透明なすじをつっきります。
「あんまりいそいで、ころばないようにね」
「だって走らなかったら、寒くていられない」
4.押しあってあたたかく・毎日の雨で肌の色が
教室の屋根を、四隅のはしらがささえています。
風がふいてくるほうの軒下に、ヤシの葉をあんだスダレがおりていました。
はだかの子どもたちがたって、ひとかたまりになっています。
「もっと押せ押せ」
「そっちばかりじゃだめよ。こっちからも押さなきゃ」
「そうだみんなで、バランスよく押しあわないと」
「外側になったやつは、おれたちのあいだを、中心のほうへ移動するんだ」
「みんなで押しあって、からだがあったかくなってきたわ」
「せっかくあったまってきたのに、もう次の授業がはじまるじゃない」
子どもたちの日に焼けて褐色をした肌が、毎日の雨にあらわれ、色がうすくなったようです。
5.カラカラじゃなくてしめっぽい
「ずっと走って帰ってきたのに、寒いよお母さん」
タウパがからだを、りょう手でかかえました。
「さぁ、はやく。お母さんの服だけど、これでぬれたからだをふきなさい」
「なにこれ、カラカラに乾いてない。しめっぽくていやだ」
「しょうがないでしょう。家のなかに干してるんだから」
「ねるときにくるまるやつは、ちゃんと乾かしてよね」
お母さんが、首をかしげました。
「からだをふいたらご飯よ。雨で家の外にマットをしいて、食事ができないから、床にこぼさないように、じょうずに食べてね。アリがくるから」
6.生活が苦しい
軒にちかい、床のはしでした。
食事を前にして、タウパがあぐらをかきます。
「ねぇ魚は――」
「保存できるように日に干した魚は、とっくにおわっちゃったわ」
「昨日もシャコがちょっとと、おイモがちょっとだったじゃん」
「風で海があれて、魚は獲れないわ。潮がひいた干潟だって、雨と風で寒いの。お父さんだって震えながら、シャコを獲ってきたのよ」
お母さんが床の中央へ、目をむけました。
「見なさい。タウパのひいおじいちゃんと、ひいおばあちゃんだって、ろくに食べれないし寒いし、横になって膝をかかえてるわ」
やせたからだが、枯れて茶色をしたマットに、溶けこむようです。
7.まとめ <魚も壁も、売ってない>
こんにちは、どふぁらずら。
寒くてこごえるし、食べ物が少なくて、つらい。
生活が苦しいずら。
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