ずっとおぼえてる想い出になる。
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き <楽しいのをこえる>
2.気持ちがひとつになる
3.たすけたい気持ちから、つぎつぎと
4.みんなでひとつのことを
5.力をあわせて
6.みんなで守れ
7.みんなでじゅん番に
8.想い出をノートに
9.思い思いの場面
10.ずっとおぼえてる、できごとになる
11.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き <楽しいのをこえる>
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
海や林で、いつもみんなであそんでる。
楽しい。
だけど、思いがひとつになると、楽しいのをこえる。
こえて、ずっとおぼえてるような、できごとになる。
2.気持ちがひとつになる
林であそんでいた、20人ぐらいの小学生です。
ヤシの木のあいだから、すなはまへとびだしました。
みんな足をとめます。
「イルカだ!」
「どうして、すなはまに横になって――」
「そんなに大きくない、大人になるまえのイルカだ」
イルカの横に、女の子がしゃがみました。
「生きてる、まだ生きてるわ、たすけなきゃ」
3.たすけたい気持ちから、つぎつぎと
「よし、おれはヤシの葉をひろってくる」
「そうだ、それがいい。おれもいく、イルカには太陽がつよすぎる」
「わたしたちは、ヤシの葉がくるまで、日かげをつくりましょう」
「そうよ、自分たちの体やうでをつかって」
子どもたちが、イルカをかこみます。
ヤシの葉の先をつかんで、ひきずってきました。
「2まいの葉をかさねて、屋根にするんだ」
「そっちとこっちで、頭のうえでもつぞ」
「わたし、せが高いから、てつだう」
「わたしも――」
4.みんなでひとつのことを
「あと2まい、葉をもってきたぞ」
「よし、それにイルカをのせよう」
「屋根の葉は、もう少し小さい子に、わたすんだ」
「じょう級生は、イルカをいどうさせるわよ」
「小さい子は、あそこの海の水がたまってるところを、大きくして」
「すなを手で、ほるんだ」
ひとりの子が、落ちていた器をひろいました。
「そうよ、ヤシの実のカラをつかえば、はやくほれるわ」
てい学年の子が、しゃがみました。
海水のたまったくぼみを、かこんでいます。
5.力をあわせて
「屋根は、そのままだ」
「よし、おれたちでイルカを、葉にのせるぞ」
ヤシの実のカラから海水がこぼれ、それがイルカの顔にかかりました。
「イルカをおすんじゃない、もちあげるようにだ、いくぞ――」
子どもたちの声が、そろいます。
「せぇの――」
「よし、うまく葉にのった。それじゃあ、葉をひっぱるんだ」
「海水がたまってるところまでよ。ゆっくり、ゆっくり、そっとね」
子どもたちの体を、あせがながれます。
6.みんなで守れ
イルカが、海水のたまったところの横まで、いどうしました。
「じょうず、ずいぶんほれたわね」
「よし、おれたちと交代だ」
「もっと深くして、イルカが海水にかくれるようにするんだ」
「わたしたちもほって、あなをもっと長くするわよ」
てい学年の子が、むねのまえで手のひらをくっつけて、あるきます。
手をかたむけて、海水をイルカにかけました。
葉でイルカが、日かげになっています。
7.みんなでじゅん番に
イルカが、海水のたまったところに、はいりました。
「よし、日かげにする葉は、交代でもつんだ」
「海がもどってくるまで、がんばらないと」
海水からイルカのせ中や、せびれがでています。
「手をとめないで、海水をかけつづけるのよ」
イルカのりょうがわに、子どもたちがひざをついています。
「じゅん番に、交代するぞ。そして、ぜったいに、たすける」
「そうよ、海へかえすわよ」
8.想い出をノートに
小学校の、長いおやすみが、おわりました。
教室は、葉でつくった屋根のしたです。
地面に、ヤシの葉をあんだマットが、しいてあります。
みんな自分たちの教室で、あぐらをかいていました。
「おやすみのあいだ、いちばん楽しかったことよ。作文でも絵でもいいわ、ノートにかきましょう」
先生がいいました。
みんな、えん筆をもって、体をまえにたおします。
9.思い思いの場面
イルカをたすけた子はみんな、そのときの絵をかきました。
それぞれの子の、ノートにかかれた絵です。
さいしょにみつけたイルカを、かいています。
ヤシの葉がつくる日かげに、いるイルカです。
ヤシの葉にのったイルカを、みんなでひっぱっています。
イルカの横の、海水のたまった穴を、深く長く、ほっています。
そして海へ、およいでかえっていく、イルカです。
どれも心に、のこった場面でした。
10.ずっとおぼえてる、できごとになる
それぞれの子の思いが、聞こえてきます。
≪楽しかったけど、あそびとはちがってた……≫
≪みんながいたから、たすけられたのよ≫
≪みんな、いっしょうけんめい、イルカをたすけようとしたんだ≫
≪あのとき、みんなの気持ちが、ひとつだったわ≫
≪なんだか、すごくよかった。そのときのこと、大きくなっても、おぼえてる気がする≫
11.まとめ
やぁ、どふぁらずら。
みんなの気持ちが、ひとつになって、
楽しいのをこえた。
おっと!
したことある子は、わすれないずら。
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