< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.勝負に負けた翌朝
3.負けたらしょうちしない
4.うれしい出会い
5.敗者からの影響
6.かならず勝て
7.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
20代後半になるトコイアさんは、ヤシの木をのぼる競争で負けました。
2.勝負に負けた翌朝
砂浜をあがったところにならぶ、ヤシの木の横に立ちました。
「昨日、負けたあとに食った飯は、いつもとおなじなのに、それまでとちがう味がした」
トコイアが腕を組みました。
「海、キラキラ光をはねかえして、こんなに輝いてたのか! まぶしいぜ」
目じりにしわをつくります。
「海水、透きとおって白い砂の海底が、丸みえじゃねぇか――」
片手を高くあげ、指を思いっきりひらきました。
「空気がすんで、空がつかめるぜ」
あげた手をにぎりしめます。
「飯がうまいだけじゃねぇ、景色まできれいにみえる。やりきるっていい。ものすごくいい」
3.負けたらしょうちしない
家のたつ集落からヤシ林へはいりました。
「昨日のこととは思えないな……。戦ってからもっと経ってる感じがする」
草のあいだをとおる、人がふんでできた道を歩きます。
「スラッとのびる幹のあいだが、広々としてるぜ」
道が交差し、男が歩いてきます。
「おっ、なんでおまえがくるんだ。おまえは昨日俺に勝ったじゃねぇか」
男はトコイアより、5つほど年下です。
こまったように、片手で頭をなでました。
「おまえ、あらためてみると、いい顔してるなぁ」
トコイアがその男の一方の肩に、手をおきました。
「くやしいけど、勝者らしいぜ。これから先、他のやつに負けたら、俺がしょうちしねぇからな」
男の肩をつかんだトコイアの手に力がはいります。
4.うれしい出会い
ヤシ林のなかの、対戦した場所へ歩きます。
「よくもまぁ、おんなじようなヤシの木が、適当なあいだをあけて、高く成長したもんだ」
昨日の対戦で自分ののぼった木を、真下からみあげました。
「何度ものぼってるのに、この景色、はじめてみる気がするぜ。凛々しい幹だなぁ。なんだか、なつかしいぜ」
幹をかたい足のうらが、蹴る音がしました。
もう一本の木に目をむけ、気合のはいった言い方です。
「おお、そうでなくっちゃな!」
パチンと手をたたき、その木に歩みよりました。
「トコイアさん昨日は、いい勝負でしたね。トコイアさんのこと、応援してたんです。あこがれですから」
幹のとちゅうから20才ぐらいの青年が、顔を下へむけています。
5.敗者からの影響
青年へ顔をむけたままトコイアが、片手で後頭部を2回たたきました。
「そりゃあ、わるかったなぁ、勝つところをみせられなくて」
「もっといいものを、みせてもらいました」
トコイアが首をかしげます。
「何度も挑戦するトコイアさんです。挑戦するたびに体が、ひとまわり大きくなった感じがして、そうとうきつい練習してるのが、つたわってきましたから」
トコイアの片手が、はずかしそうに後頭部をこすりました。
「昨日、はじめてみました。ヤシの木からおりたトコイアさんが、観戦に集まった人たちの帰る背中に、頭をさげてるの。その姿をみて自分も、挑戦するって思ったんです」
6.かならず勝て
トコイアがまた頭をこすります。
「そうだったのか。負けても役に立ったか」
幹のとちゅうで笑みをうかべています。
「ぼく、勝ちます。練習してぜったいに――」
トコイアが一方の拳を、つきあげました。
「おお、かならず勝て。そしていつか、今までとちがう、味や景色と出会え。やりきるって、最高にいいぞ」
トコイアがつきあげた手を、青年をおいはらうようにうごかしました。
「ほら、のぼってみろ、のぼれ、のぼれ。どんどんいけ。これがはじまりだ――」
心のなかからつづけました。
≪これから、つらいことが、たくさんある。負けるんじゃないぞ≫
幹の先で葉が丸くひらき、そのむこうに広がる空の青が、今までになく鮮やかでした。
7.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
ちがう景色をみる。
しかも負けたのに、美しい。
やりきるっていいずら。
おっと!
こっちも、すがすがしいずら。
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