< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.長年のもめごと
3.愛でつつむ
4.本題にいどむ
5.損するだけじゃないか
6.土地よりたいせつなもの
7.ぶっとばす
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
集落の長は、
集落のぜんいんが、家族みたいなものなんだよ。
理解できないような人でも、おだやかにつつみ、相手を受けいれるんだって。
長ってどれだけ、
心がひろくてふかいんだってばぁ。
💦 人をつつむページは、こっち >
2.長年のもめごと
母屋の床は一面に、ヤシの葉をあんだマットがしいてあります。
「今年は四男、おまえの番だ」
そういったのは、あぐらをかいた50才をすぎた長男でした。
「おれは何度か試みたがダメで、人をかえて次男がいき、そして三男が話したがダメだった」
長男をまえにして、四男が茶色い腰布一枚の姿で、すわっています。
長男が覚悟をきめたように、息を大きくはきだしました。
「この話しあいは、カイキ、おまえにかかっている」
期待をかけられたカイキは、祖父から相手との話し方をききました。
あぐらをかいた祖父が、眉をよせます。
「そうかんたんには、いかないじゃ。おまえ次第じゃ」
そういわれカイキは、がぜんやる気がでました。
3.愛でつつむ
相手は、カイキの父親と同年代でした。
話しをおえてカイキが、母屋の軒を腰をふかくおってくぐりました。
「だめだ、だめ。そりゃあ、おしえられた通り愛したさ、相手を愛した」
長男から少しはなれて、あぐらをかきました。
「おれは相手をひろい心でつつみ、笑顔で話しはじめた。それに相手がほほ笑んで、なかなかいいじゃないかと思ったぐらいだ」
カイキが拳で手のひらをたたきました。
「あのやろう、それでもチクリ、チクリと、気になることをいいやがって。それをおれは愛でつつみ、おだやかにかえした。そのぐらいおれは、相手を愛した」
カイキの話に、長男が口をはさみました。
「それで本題は?」
「せっかくいい感じで話せてたからな。わるい、切りだせなかった」
4.本題にいどむ
母屋へ入るなりカイキは長男にむき、顔のまえで手の平をふりました。
「いっそう愛をふかめて話しだしたが、それが相手をいい気にさせたのかもしれない。気にさわることを度々いわれ、おれはそれを愛でつつんで笑顔でおだやかにかえしつづけた」
カイキが長男へ、片手をむけました。
「わかってる、本題だろう」
片手をおろし、つづけていいます。
「おれは平静に平静にと、自分にいいきかせ、本題にはいった。いい調子に笑いながら話していた相手は、とたんに人がかわった。そのあとは兄貴たちから、きいていたとおりだ」
カイキがいやそうな顔を、よこにふりました。
「おれには、ほんとうかウソかもわからない昔の話を持ちだし、おやじやおふくろを悪くいう。あんなやつに、兄貴たちがおこってとうぜんだ。はらわたが煮えくりかえり、床に思いっきり平手をたたきつけて、帰ってきた」
5.損するだけじゃないか
長男が拳をたたきつけ、母屋の床がゆれるようです。
カイキがおどろいて身じろぎました。
「わるかった、うまく話せなくて。おれがさいごの望みだったんだからな」
長男が首をよこにふりました。
「いいや、おまえは悪くない。おまえはよくやった。りっぱだ」
そういうと祖父にむきました。
「ずっともめてきたこの件、ここでおわりにしてもいいですか?」
カイキが口をはさみます。
「ちょっとまて、そんなことしたら、損するだけだろう――」
6.土地よりたいせつなもの
祖父がすわりなおし、長男にむきました。
「どうして、おわりにしようと思うじゃ」
「相手とやりあっていたら、人間の質が相手と、おなじになってしまいます。土地はまたきり拓けますが、質を失ったらとりもどすのは至難です。もめている土地より、自分たちの質をたいせつにしたい」
長男がりょう肩をおとしながら、ゆっくり息をはきました。
「カイキ以外のわたしたち兄弟は過去に、相手に憤慨してこらえきれないことがありました。ですが今回カイキは、相手をつつんでりっぱにやりとげました。床をたたいて相手に無礼をはたらいたとしても、わたしたち兄弟の、または家族の、誇りをまもってくれました。しめくくるにはちょうどいいと思います」
7.ぶっとばす
長男は自分の提案に、祖父の同意をえました。
「カイキ、オノを持っておれについてこい、相手をぶっとばしにいくぞ」
林のおくの、高く成長したヤシの木でした。
カイキがオノをふりつけ、外がわの皮をはいでいきます。
幹の中は、たくさんの繊維が縦にはしっていました。
「よし、それぐらいでいい、どけ」
腰をおとしてかまえた長男が、ふたつの拳で繊維をなぐります。
なぐってなぐってなぐりつづけ、肩や二の腕の筋肉が、ふくらんでくるほどでした。
無心になりました。
相手と相手との問題を、頭の中から完全にけしました。
次にカイキの拳が、繊維をたたきます。
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
土地よりたいせつなのが、自分たちの質や誇り。
欲が、より一層みにくく感じるずら。
おいらも、
そんふうに、まもってみたいずら。
おっと!
こっちも、まもるずら
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