< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.異性ととおくにならんでトイレ
3.便利なヤシの葉
4.白い砂浜にうつるヤシの葉の影
5.となりの人との距離
6.誤解なのに
7.無視じゃない暗黙のルール
8.おばさんにかかったら、暗黙のルールなんて
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
いつもすっぽんぽんの、ぼくら子どもは、
暗黙のルールなんて関係ない。
女の人や女の子と、となりにならんで、できる。
おしゃべりしながら気持ちのいい、
トイレなんだってばぁ。
2.異性ととおくにならんでトイレ
集落のはずれが半島になり、そこに立ちならぶヤシの木のあいまには、雑木がしげっていました。
そのあいだをとおる人の踏んでできた道を、どふぁらが集落のトイレにむかってあるいていました。
道から外れ木々のすきまから、浜にいる先客をかくにんします。
≪おっと! おいらよりずっと年うえの50才前後の女性ずら。こっちをむいてしゃがんでるずら≫
どふぁらが音をたてないように、道にもどりました。
≪相手に気づかれないように、確かめる。暗黙のルールずら≫
3.便利なヤシの葉
女性からはなれるように、半島の先のほうへむかいます。
≪女性がとおくにみえるのは、問題ないずら≫
また道からはずれ、浜をかくにんします。
≪よし、だれもいないずら。おっと、わすれるところずら≫
枯れ落ちたヤシの葉をさがしました。大きな葉の芯のりょうがわにならぶ、細長い葉を数枚、根元からむしりとります。
≪半分におると、Uの字をかいて曲がったところが、ちょうどいいずら。葉のふちには丸みがあって、肛門をこすっても心地いい。海にさらわれて自然にかえる、島のトイレットペーパーずら。毎日2回、潮が満ちてきれいにしてくれるずら≫
4.白い砂浜にうつるヤシの葉の影
どふぁらがお尻を、海にむけてしゃがみました。
≪腰にまいている布をうまく調整して、女性から尻がみえないようにする。暗黙のルールずら。なれたおいらは、うまいもんずら≫
横には、とってきたヤシの葉がおいてあります。
≪白い砂浜にうつるヤシの葉の影にいるずら。これならゆっくりできるずら≫
大声が、ひびいてきました。
「どふぁらぁ」
呼んだのは先客の、50才ぐらいの女性です。
≪なぬっ! そっちをむいてもいいものか、まようずら≫
「おまえはわたしに、ケンカうってるのか――」
5.となりの人との距離
どふぁらが女性にむきました。
≪りょう膝をまえについて、大き目につくった茶色い服を、うまくつかって尻をかくしてるずら≫
「うううっ」
しゃべれないどふぁらが、大声でうなります。
「ケンカうってるだろう。きのう、おまえはここへきたとき、となりの女ともっとちかくなかったか――」
≪たしかに! んだがそれは、女の人が腹がいたくて、おいらからとおくへはなれる余裕がなかったからずら。そんなことうなって訴えても、そこまでわかってくれないずら≫
「うううっ、うう」
「なんだと、ゆっくりクソをさせろ。うるさいから、だまってろだと――」
💦 お腹のいたい女の人のページは、こっち >
6.誤解なのに
女性は、りっぱな体格をしていました。
「おまえはわたしが、こんなおばさんだから、そんなにとおくに、はなれたんだろう。ケンカうってるじゃないか」
≪そう誤解されても、仕方がないずら。きのうの女の人は、若かくてステキだったずら≫
女性が片腕を、どふぁらにむけてのばしたかと思うと、手のひらで空気をひくように腕をちぢめ、それを繰りかえしました。
「もっと、こっちじゃないか。きのうは、もっと、もっと、こっちだったぞ」
「うううっ」
「うるさいじゃない。尻はでかいほうがいいんだ」
女性が片手で服のうえから、自分のお尻をたたきました。
7.無視じゃない暗黙のルール
どふぁらが、片手で後頭部をこすりました。
≪きのうの若い女の人は、おいらにちかかったことを、あやまってくれたずら≫
「おい、どふぁら、なんとかいえ、無視するのか――」
≪まいったずら……≫
「うううっ」
「なんだと、わたしのクソは、特別にくさいって。だからとおくなのか――」
≪そんなこといってないずら。おいらは、あやまったずら≫
「無視してるな。こっちむけ」
≪それなりの距離があっても、となりが異性の場合は、まえをむいてる。暗黙のルールずら≫
「こっちむけ、っていってるのが、聞こえないのか――」
8.おばさんにかかったら、暗黙のルールなんて
「ウォウ、ウォウ、ウォウォウ」
≪おっと! まるで犬が吠えてるみたいずら。鳴きまね、うまいずら。意表をついてくるずら≫
どふぁらが女性にむき、女性がよつばいになりました。
りょう足のうらが海へむき、つま先が砂をうしろへとばします。足首が交互にうごき砂が、シャッ、シャッっと、とびました。犬が糞をしたあとに、する行為をまねています。
どふぁらが、プッ、と吹きだしました。
≪そこまでやる! 足首だけうごかして、愛嬌があるっていうか、あいかわらず憎めないおばさんずら≫
女性がどふぁらにむき、ニタッとしました。
立ちあがってなにもなかったように手をはたき、でかいぞ、とでもいうように、お尻を左右に大きくふりながら、ヤシの木のあいだにはいっていきます。
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
因縁をつける。
暗黙のルールをつかって、うまいずら。
まったく、おいらはあそび道具じゃないずら。
おっと!
おいらは、島で真剣に生きてるずら。
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