だれかと比べて嫉妬しても、ねたむのはカッコわるいから。
うらやましい、のほめ言葉。
< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.すぐに漏る雨・グニャグニャの床
3.ステキな樹液採り
4.みたくもない樹液採り
5.うらやましい
6.子どもたちにじまんするお父さん
7.うらやましいは、ほめ言葉
8.取りかえてほしい
9.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
ぼくは、絵がうまいって先生にいわれた。
主島のコンテストに、まいかい応募してる。
だけど、
だれもぼくを、うらやましいって、思わないんだってばぁ。
1度も入選、しないからかな?
2.すぐに漏る雨・グニャグニャの床
ふかいヤシ林を背にするように、葉をふいた屋根を柱がささえる家が建っています。
大人がおしりをむけて背伸びをし、腰かけるぐらいの高さの床には、乾燥したヤシの葉の芯がしきつめてありました。
そこで30才すぎの両親と、5才と7才そして9才の3人の子どもが暮らしています。
「ねぇお母さん。ここ雨が漏って、ぬれてばかりいるから、床がグニャグニャで、穴があきそう」
9才の長女がかた足で床をおし、5才の次男がべつの場所をゆびさしました。
「それだったら、ここだっておなじだよ」
7才の長男が、お母さんに顔をむけました。
「どっちの雨漏りも、お父さんがなおしたのに、ちゃんとできてない」
3.ステキな樹液採り
ヤシの木のあいだへむけて、ちょっと大きな声をだせば、となりの家と話ができます。
その小さなヤシ林の1本の幹にかた手をついて、3人のお母さんのスズがたっていました。
「ステキだわぁ、となりの家の旦那さん、スラッとした体形をして、ヤシの木をあんなに軽々とのぼっていくわ」
その人の妻は、スズとおなじぐらいの年です。
「旦那さん、ヤシの葉のあいだをのぼって、葉の芯にたって、あらっ、なんて手ぎわがいいんでしょう。ヤシの芽をナイフで削ったと思うと、空のうつわをさげて、すぐ次の芽から樹液のたまったうつわをはずして……」
4.みたくもない樹液採り
スズの旦那がかた手に殻のうつわをさげ、ナイフをくわえてヤシの木をのぼりはじめました。
「まったくうちの人ときたら、でっぱったお腹がじゃまになって、なんなのあのだらしないのぼり方は。下から火であぶってやろうかしら」
旦那がヤシの葉の芯のあいだを、あがっていきます。
「きゅうくつそうに、葉っぱをおしたってがんじょうなんだから、ろくにうごかないわよ」
旦那がまえかがみになり、足のあいだから外へだした芽の先を、うすくけずりました。
「なんなのあのノロノロした手つき、あ~もうみてられないわ」
スズがとなりの家へあるきます。
5.うらやましい
スズの家とおなじような場所とつくりでした。
床に奥さんがあぐらをかき、細くととのえた葉をあんで寝具をつくっています。
スズが床にりょう手をつき、首をうしろにたおして屋根うらにむきました。
「いいわねぇ、おたくのご主人、じょうずにつくってあるじゃない」
スズが下をむき、かた手で床をなでました。
「おなじように林からとってくる材料を、つかってるとは思えないわ。おたくのご主人、仕事がはやいし、きれいでうらやましいわ」
「そんなことないわよ。男なら、だれだってこのぐらいできるわよ」
「そうだと、いいんだけどねぇ。みてるとイライラしてくるから、ごめんなさい、いくわ」
6.子どもたちにじまんするお父さん
スズの旦那が布の袋と、魚をおいこむ網を、それぞれの肩にかけて漁からもどりました。
「おまえたち、ほらみてみろ、お父さんはこんなにたくさん、獲ったんだぞ」
子どもたちをまえに、肩からおろした袋をひらきました。
「ほんとだ、10ぴき以上いる」
袋をのぞく長男の顔のよこに、長女が顔をならべます。
「だけど、小さいのが多いから、みんなで食べたら、ちょっとずつしか食べられないのかなぁ?」
スズが子どものあいだに割ってはいり、漁獲を確認しました。顔をあげて旦那にむき、りょう肩をおとしてため息をつきます。
7.うらやましいは、ほめ言葉
となりの旦那が漁からもどり、ヤシの木のあいだからスズが、その姿に目をやります。
立ちどまって、ぽっかり口をひらきました。
自分が持つ袋より、ずっと大きくふくらんだ袋を肩にかついでいます。
≪おなじ日のおなじ潮で漁にいったのに、なんなのこの差は、旦那を取りかえられるものなら、心底そうしてほしいわ≫
心の中でいい、声にだしてぼやきました。
「うらやましいったら、ありゃしない」
8.取りかえてほしい
ヤシの葉をあんだマットにあぐらをかき、スズが二枚貝のかたほうを持って魚のウロコをとっていました。
そこへとなりの奥さんが、布の袋を持ってきました。
「たくさん獲れたから、食べて」
奥さんが袋をひっくりかえし、マットに魚がすべりだします。
「ご主人、がんばって獲ってきたのに、気のどくだわ」
「いいのよ、うちのは役たたずなんだから。できることなら、おたくのご主人と、取りかえてほしいぐらいよ。うちの旦那はひとりもつくれないのよ、3人も子どもをつくって、旦那さんがうらやましいわ」
スズがこまったような、うれしいような、どうしていいかわからない、顔をしていました。
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
自分にないものを持ってる。
そりゃあ、
うらやましいずら。
おっと!
こっちは、ママが惚れなおすずら。
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