ずっと魚を食べてない、魚が食べたい!
それは、星空をうつす海より、うつくしい音色のせいだった。
本文は:物語風に4分
<ふりがな> 小学3年生~
1.タウパの前書き
2.きげんのわるい海
3.魚がたべたい
4.夜になるときこえてくる
5.魚がたくさんとれる
6.長老がおだやかにたのむ
7.口笛の音と風
8.言い伝えがつくられた
9.まとめ
それじゃあ、物語みたいに、いくよ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
これは、
ぼくの生まれる、ずっとずっとまえ。
ず~~~っとむかしの、できごとなんだって。
海がヤキモチやくなんて、そうとうすごいってばぁ。
2.きげんのわるい海
ふたりの大人の男です。
じょうぶな葉っぱからつくったミノを、腰にまいています。
ヤシの木の横に、海をまえにしてたちました。
「どうなってるんだ」
ふたりともおどろいたように、目を大きくしました。
「風がないのに、海があれてる」
「空は青々として、おだやかじゃないか」
「これじゃあ、魚をとりにいけないぞ」
ふたりは、海水がおきへ去り、ひがたになるのをまちます。
そしてひがたの、砂のなかにくらす、ゴカイやシャコや貝をとりました。
3.魚がたべたい
電気のつかない集落の、夕ごはんは夕方のあかるいうちです。
葉をかさねた屋根の横に、ヤシの葉のマットをしきます。そこにあぐらをかきました。
子どもたちはすっぱだか、お父さんとお母さんは、腰にまいたミノが、丸くひろがっています。
子どもが、イモを手でつかみました。
「ねぇお母さん、何日もひがたにくらす食べ物じゃ、ぼくいやだよ」
「わたしももういやだ、魚が食べたい」
「いつ魚が、とれるの?」
お父さんがこまったように、まゆ毛をよせました。
「海があれてて、どこの家も魚がとれないんだよ」
「こまりましたねぇ。こんなおかしなこと、いつまでつづくんでしょうか?」
4.夜になるときこえてくる
夕焼けがきえ、空には星がいっぱいです。
その夜もきこえてきました。
笛の音のようです。
ひくい音から高い音まで、自由にひびかせました。
集落のなかをとおる道のりょうがわに、パンの木がたっていました。
その1本の、大人の背よりすこし高いところです。
男が木のえだに背中をあずけ、口をほんの少しとがらせていました。
男のふく口笛が、集落にひびきます。
「じょうずですねぇ。子守歌になりますねぇ」
「子どもだけじゃない、俺だってねむりにさそわれるぞ。うつくしい音色だ」
などと話す声が、きこえてきます。
5.魚がたくさんとれる
その夜も、男が口笛をふこうとパンの木をまえにしました。
木にあがろうと片足をあげると、ひどいカゼをひいたようなセキがでます。
足をおろすとハナミズが、ドバアーッとでました。
それまで元気だったのに、とつぜんどうしたんでしょう?
セキとハナミズで、口笛どころではありません。
するとその次の日です。
海がしずかになりました。
「よし、これで魚がたくさんとれるぞ」
お母さんは、せっせと魚を焼いたりします。
「ワーイ、ワーイ、魚だ。やっぱりぼく、魚だいすき」
「ほんと、おいしいわぁ」
子どもたちが、大よろこびです。
6.長老がおだやかにたのむ
セキやハナミズがとまり、男が元気になりました。
夜になると、うっとりするような音が、ひびきます。
すると次の日、また海があれ、魚をとりにいけません。
木にのぼろうとした男に、ひとりの長老がいいました。
「おぬしにたのみがあるじゃ。どうか集落の子どもたちを、たすけると思って、ためしてほしいじゃ」
男が首をかしげ、長老がつづけていいます。
「海が口笛をきらっているのかもしれん。だとしたら、海面に星をうつす自分より、口笛がうつくしいからじゃろう。今夜ふかずに明日、海がおさまったら、どうか太陽のでているあいだに、ふいてもらえないじゃろうか」
7.口笛の音と風
夜に、口笛をきくことが、なくなりました。
日なたは真夏のあつさです。
魚をとるりょうや林の作業がいちだんらくすると男が、木にあがってえだによりかかります。
ふいてくる風と笛の音を、あそばせているようでした。
風が高い音をさらい、次の風がひくい音を背にのせます。
男のふく口笛が、風をつつんでそっとだきしめるようでした。
おだやかな曲調です。
子どもをねかしつけている母親が、口笛をききながらねむりに落ちます。
8.言い伝えがつくられた
子どもたちが魚を食べられなくて、こまらないようにです。
夜に、口笛をふかないよう長老が、子どもにむけたお話をつくりました。
お話が言い伝えられ、子どものころから夜は、口笛をふきません。
それが子どものイルカと、子どものカメの、こわいお話です。
9.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
子どものうちに夜、口笛をふかないようにする。
そのこわい、
イルカとカメの言い伝えは、こっちずら。
おっと!
こっちは、忘れものをしない、お話ずら。
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