< 本文は:物語風に3分 >
目次
1.タウパの前書き
2.おじいちゃんが、かわいそうなのに
3.もう漁へはいけない?
4.食べる気にならない
5.かたくななわけじゃない
6.なくなった自信
7.痩せたかもしれない
8.まとめ
それでは、物語のように、どうぞ
1.タウパの前書き
こんにちは、島に住む10才のタウパです。
リッ君は、話しやすい25才ぐらいのお兄さん。
ずっと話してない気がして、
どうしたんだろうって、思ってたんだってばぁ。
2.おじいちゃんが、かわいそうなのに
母屋の葉をふいた屋根が、地面に黒い影を落としています。
腰をふかくかがめて軒をくぐり、リクの祖父が影をふみました。
その姿を影にたって、魚をおいこむ網を肩にかけたリクの兄と、漁獲をいれる布の袋をもったリクの父親がみています。
祖父をおうようにリクが、母屋から外へでました。
「おじいちゃん、おじいちゃんは家にいたらいい。漁へはオレがいくよ」
祖父がやさしい目をリクにむけ、兄が口をうごかしました。
「リクはいい、家にいるんだ」
「えっ、どうしてさ、おじいちゃんが、かわいそうじゃないか」
父親がリクに顔をむけます。
「おじいさんは、げんきだから心配ない。魚をたくさん獲らないといけないんだ」
3.もう漁へはいけない?
漁へいく3人とも、くたびれた茶色い布を腰にまいています。
パンの木が門柱のようにたち、そこへむかっていく3つの背中を、リクがたってみていました。
≪やっぱりそうなんだ。オレが魚の群をみつけられなかったり、魚をおいこむのがへたくそだったりするからだ……≫
心のなかでいったリクが、視線を屋根の影におとしました。
≪もうオレは漁へ、いっしょにいくことが、できないのかもしれない……≫
リクが目に涙をうかべました。
4.食べる気にならない
母屋の軒先にヤシの葉をあんだマットをならべてしき、そこに幾枚ものパンの木の葉を皿がわりにして、イモと焼いた魚が山になっています。
それをかこんで家族があぐらをかき、それぞれがまえにおいた葉に、食べかけのイモや魚をのせていました。
たちあがったリクに、兄が視線をとばします。
「なんだ、もう食べないのか、魚がこんなにたくさんあるんだ。もっと食え」
兄に顔をむけたリクが、自分の腹に片手をあてました。
「ごめん兄さん、お腹のちょうしがよくないみたいで……」
リクが母屋へはいり、床一面にしかれたヤシの葉をあんだマットに、よこになります。
5.かたくななわけじゃない
その日も兄と父につづいて、祖父が母屋からでて、3人が漁へいきます。
その様子をみてリクが、反対側の軒をくぐって外へでました。
母屋の屋根に、かくれるようにたちます。
太陽が西へかたむき、あたりが夕焼け色にそまりました。
母屋のわきで家族が食事をとり、母親が顔をリクにむけます。
「海のものがきらいになったのかしら。このところ、イモやパンの実ばかり食べてるじゃない」
つづけて兄が口をうごかします。
「リク、魚を食え、こんなにあるんだ」
リクが魚をつかみ、自分のまえの葉にのせました。
6.なくなった自信
リクが母屋の床のはしに、膝をかかえるようにして、よこになっています。
≪オレはもう子どもじゃないのに。立派に作業のできる大人なのに……≫
リクが視線を、隣の家とをへだてるヤシ林へむけています。幹のあいだへ大きな声をだせば、隣人と会話ができるような距離でした。
≪家を建てたり、修理したりすることもそうだけど、漁は家族をささえる男として、一番誇れる仕事じゃないか≫
隣家からヤシの葉でつくったカゴをさげてでてきた女が、塩をまぶした魚を日に干そうと、草むらにしいたヤシの葉にならべています。
≪オレは、やる気がないんじゃない。なくなったのは自信だ……≫
7.痩せたかもしれない
集落を海側とヤシ林側に二分するように道がとおり、リクの家は島のはんたい側までつづくヤシ林を背にしていました。
ヤシ林へはいったところにリクが、林のおくへむき幹を背にしてあぐらをかいています。
鳥のエサになる実をさがして、タウパが通りかかりました。
「リッ君、ずっとみかけないと思ったら、なんだか痩せたみたいだよ。ほっぺから肉がへって、海にいるゴカイみたいだ」
リクがほほ笑みました。
「あっ、笑ったらほっぺがふくらんで、痩せたフグみたいだ。リッ君、真似するのじょうずだってばぁ。サメの顔もして、して――」
「タウパはいいなぁ、なんだか気持ちが晴れる気がするよ」
8.まとめ
こんにちは、どふぁらずら。
壁がなくても、こもり人。
この先、リクがどうなるか?
つづきは、来週のお楽しみずら。
おっと!
こっちは、壁のない家の掃除ずら。
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